知花竜海の音楽凡楽

ロック・レゲエ・ヒップホップ・沖縄民謡などをチャンプルーしたサウンドに、言葉遊びと深いメッセージをちりばめた歌詞で新世代の沖縄音楽を創り続けるミュージシャン/プロデューサー知花竜海(DUTY FREE SHOPP.)が、活動情報や日々のつれづれなどを書いていきます。

エイサーでEXILE!?チャンプルー文化なう。

お盆は沖縄のあちこちで各地の青年会によるエイサーが繰り広げられる。

特色は様々で、本格的なところから、しょぼいところからピンキリだ。
でもエイサーの時は男も女も五割り増しでカッコよく、可愛く見える。
まさにエイサーマジック。
琉神マブヤーで言えば「ウークイLOVE」か笑

僕が毎年楽しみにしている、恩納村のとある青年会。
ここは毎年一曲、ポップス曲を取り入れてエイサーを踊るのが恒例となっている。
これまでも「GReeeeNのキセキ」や「崖の上のポニョ」など、
衝撃の選曲だったが、今年もまさかの「EXILEのI wish」から
唐船ドーイにメドレーで繋ぐという展開でかなりぶっ飛ばしてた笑。

そのことをTwittterでつぶやいたことから、
二つの角度から面白い議論が展開されたので、メモっておく。

以下俺のつぶやき
青年会がEXILEのI wishでエイサー踊ってる笑。ちゃんと地方が三線で弾いて歌ってるよ。しにうける。そこからの唐船ドーイ!

それを受けて

まず文化人類学者でゲイアクティビストの砂川秀樹さん( @H_Sunagawa )が
下記のようにツイート。

青年会にもこういう流れが。EXILEの曲を使うところがヘテロ男子文化だなぁ(苦笑)

それを受けて @yasunova さんという方がこのようにツイート。
あれ、昨年の東京プライドパレードってEXILEフロート出てましたよね?

おや、おやや?この時点で色々と知らない用語が出ているぞ。
ググってみる。

ヘテロ : 同性愛に対して、異性愛をさす言葉
東京プライドパレード : セクシュアル・マイノリティへの差別、偏見をなくし、正しい知識と理解を広め、性的少数者が生きやすい社会の実現を目指すことを目的とするパレード
フロート車 : パレードなどで使用される台車の上にデコレーションがなされたもの。 
EXILEフロート : なんと昨年はあのAVメーカーのSOFT ON DEMANDがEXILEばかりかけるフロートを出したらしい。参加者へロゴ入り風船とコンドーム配布を行ったとか。

いやー、勉強になりますね。
色んなゲイの方のブログとかを見てみたら、SOFT ON DEMANDは同性愛者向けにも参入しようとしてそのアピールをかねて出場したとか。なるほど、そういうEXILE文化もあるわけですね。宝塚と一緒だな。

で、もうひとつの議論は単純に伝統のエイサーを壊すようで
駄目だ、という方の意見について、なんとゲイの方々が論争。
ゲイを中心としたエイサーグループがあるらしく、
その立ち上げメンバーの方の話など、超面白かった。

ここで内容読めます。 エイサーをめぐる議論 onTwitter

で、それらを読んで、俺のツイート。

(EXILEでエイサー)いやいや、なかなか笑えますよ。要は流行でウケを狙って目立ちたい、という求愛行動ですから、毛遊びという概念でとらえた時にはごく自然なことです。僕は伝統を壊す立場ですが、守ることと壊すことは表裏一体。どちらがかけてもどっちも成り立たないと思います

以前、有名な琉球古典音楽の方と共演した時、「お前らは遠慮なくどんどん壊せ、守る方は俺らがしっかりやるから任せろ」ってもらえた時に感動しました。琉球の精神文化を受け継いでいきたいという目的意識が同じだとお互いに実感したからです。

念仏踊りとして入って来たエイサーがなぜここまで大衆に普及したかを考えた時、
それは「ありがたかったから」でも、「質が高い文化だから」でもなく、
単純に踊って楽しい、見て楽しい、そしてモテそうだったからだったと思う。
「祈り」と「娯楽」と「子孫繁栄」を兼ねているのです。
ご先祖様も、きっとそれを望んでいると思う。

俺が地元で青年エイサーやってた時も、10年以上前になるけど
唐船ドーイにパラパラの振り付けして踊ったりとかしてたな笑
その時だけ太鼓を置いてから。村エイサー大会のカチャーシーの時、
めっちゃインパクト勝ちしてたよ笑

沖縄のチャンプルー文化の神髄というのは
とにかく入って来たものをどん欲に取り込む雑食の執念。
ポークランチョンミートなど
体に良い訳でもなく、質が高い文化とは言えないものでもとにかく吸収する。
「混ぜてみたら美味かった。」
この一言につきるのではないか。
良いか悪いかは別として、大衆文化とはそうして発展するものだと思う。

エイサーや古典音楽などの文化は普遍的なものではありません。
たかだか数百年前に固定された様式や芸術が永遠の価値を持つ訳ではないと思います。
僕はそれよりも、ある一時代に固定された様式を必死で残そうとする
「思い」や「執念」を見ることこそが
古典やクラシックの味わいだと思っています。

変わっていくことも、変わらないことも、
否定も肯定も批判も楽観もせず、
ただ、ありのままに変わっていく世界や時代の中で、
とにかく「一生懸命生きる」
これしかない、と最近は思っています。
震災後、特にそれを強く思うようになりました。

以上とりとめも無く、雑文メモでした。

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知花竜海 次回ライブ情報
8/24恩納村ココナッツムーンでライブ決定!!
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この記事へのコメント
雑文なんてそんな。すごく考えさせられるなーって思いました。勉強になります!
Posted by koku at 2011年08月18日 17:08
たつみ!元気か?面白く読ませてもらったよ。三線でEXILEか。俺は結婚式で、AKB48の「会いたかった」を古典音楽の正装して、三線でバッチリこぶし付きで歌ってたの見たよ。なかなかよかった(笑)三線もあんな音出るんだな、と勉強になったさぁ。
Posted by こーた at 2011年08月21日 00:03
>こーた

おお久々!最近うちのおかぁがやーの話してたよ。
三線でAKB48かぁ、でーじウケるな。見てみたいやっさ、、
普通に「楽器」として考えれば何弾こうかなんて勝手だよな。ギターでクラシックや民謡を弾いちゃいけないって訳じゃないし、
三線でメタルとかボサノバ(出来るのか?)を弾いたっていいと思う。
Posted by 知花竜海 at 2011年08月21日 06:06
>koku
ありがとう〜!日々勉強です!
Posted by 知花竜海 at 2011年08月21日 06:06
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