知花竜海の音楽凡楽

ロック・レゲエ・ヒップホップ・沖縄民謡などをチャンプルーしたサウンドに、言葉遊びと深いメッセージをちりばめた歌詞で新世代の沖縄音楽を創り続けるミュージシャン/プロデューサー知花竜海(DUTY FREE SHOPP.)が、活動情報や日々のつれづれなどを書いていきます。

落ち穂13:『赤ちゃんと暮らす』

琉球新報コラム 落ち穂
第13回 (07/6/掲載分)
『赤ちゃんと暮らす』

 赤子の手をひねるよりたやすいという例えがあるが、実際は赤子の手をひねらない方が難しいのだ。赤ちゃんは本当に繊細でデリケート。触れたら壊れてしまいそうなほど無力で無抵抗。誰かが世話してあげないと生きて行けないし、常に気を配り優しくいたわってあげないといけないのだ。この存在はある意味無敵と言えると思う。何しろ家の中で一番偉いのだ。みんなが赤ちゃんの言うことを聞く。最大の弱者なのに最大限に尊重される理由は簡単、可愛いからだ。
 人は誰でも自分の子や孫が可愛くて仕方ない。思わず構いたくなるし、何でもしてあげたくなる。赤ちゃんは自分では何も出来ないが、親ばかフェロモンを出して親を虜にし、身の回りの世話をさせるのだ。その代わりに親は子供から安らぎと生き甲斐と希望をもらう。とてもよく出来たシステムだと思う。こればかりはよこしまな気持ちや変な計算とかで出来ることではない。家族に向き合う時は常に良心の誠実さを試されている。赤ちゃんはまるで自分を映す鏡のようだ。
 今までは自分で勝手に生きてきたような気になっていたが、親をはじめ色んな人が支えてくれて、愛してくれて、祝福して、見捨てずに育ててくれたからこそ自分は生きているということを赤ちゃんは教えてくれた。
 それだけに昨今の幼児虐待や幼児遺棄のニュースを聞くと心が痛い。子供には全く罪は無いのに、その子の未来を奪ってしまう。それぞれやむにやまれぬ事情があるには違いないが、全ての子供達が祝福されるような世の中になってほしいと願わずにはいられない。
 かく言う僕も学生の頃は、子供が生まれたら自分のやりたいことが出来なくなるのではないかという不安を持っていた。だがふたを開けてみると、仕事も張り合いが出るし、アイディアは湧くし、何より家庭が喜びに満ちあふれ、楽しみが何倍にも増えた。自分の人生の主人公はあくまで自分だが、子供を主人公にした新しい人生ドラマも新たに平行して始まったという気がしてワクワクしている。

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