知花竜海の音楽凡楽

ロック・レゲエ・ヒップホップ・沖縄民謡などをチャンプルーしたサウンドに、言葉遊びと深いメッセージをちりばめた歌詞で新世代の沖縄音楽を創り続けるミュージシャン/プロデューサー知花竜海(DUTY FREE SHOPP.)が、活動情報や日々のつれづれなどを書いていきます。

8/13ライブに向けて。程璧の「沖縄民謡」翻訳してみました。


実は8/13に桜坂で共演する程璧(チェン・ビー)のアルバムの中には、沖縄の三線を使って日本語で歌っている曲があるんです。その名も「沖縄民謡」。YouTubeやiTuensで試聴も出来るので聞いてみて下さい。その曲について本人が中国語で書いた文章があったので、気合いで訳してみました。長いけど気合いで読んでみて下さい。なんか沖縄のことをすごく近く感じてくれてるんだなって感じで、本人が沖縄でのライブを熱望したのも分かる気がします。日本に留学経験があるそうで、文化を深く理解しようとする彼女の姿勢が伺える良い文章です。
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《冲绳民谣》创作笔记 ——程璧

《沖縄民謡》創作メモ ——チェン・ビー

 这首歌的灵感来自于两年前的夏天,由我的日本音乐朋友溝呂木奏先写出旋律。他使用的是古典吉他,模仿三味线的韵味。后来我为曲填词,带回国内,交由莫西子诗配器编曲。我的直觉是,莫西子诗来自大山,出身少数民族,与冲绳音乐相遇,会碰撞出火花。

 この歌がひらめいたのは二年前の夏、日本の音楽友達 溝呂木奏が先にメロディーを書いた。彼がクラシックギターを使って三線っぽい音階を真似てみた。後で私が詞を付けた。国に持ち帰って、莫西子诗(モーシー)がアレンジした。私の直感では、莫西子诗は大山の少数民族の出身だから、沖縄音楽と出会うと絶対火花が散る(化学変化が起こる)と思っていた。

 歌词的中文意思是:
 清晨到来/鸟儿鸣叫/这里是我的家。/山之音/川之景/让人心生眷恋。/那位令我/日夜思念的人儿啊/你究竟在哪里呢。/不知不觉间/日子走远/只剩一首歌。

 歌詞の意味は:
朝がくる(清晨到来)/鸟が鸣く(鸟儿鸣叫)/これがわが家(这里是我的家)/河の音 (川之音)/山の風景 (山之景)/懐かしくて(让人心生眷恋)/恋しいよあの子(那位令我/日夜思念的人儿啊)/あの子はいない(你究竟在哪里呢)/知らずに日がすんでゆく(不知不觉间/日子走远)/歌を歌う(只剩一首歌)

 听过岛歌的人,一定知道夏川里美这个名字。在冲绳民俗里面,刚刚诞生的婴儿被看作是神的孩子。她的一首《童神》,曲调柔美,令人沉醉,被无数人翻唱。另外一位就是中孝介, 他的岛式唱腔令人耳目一新,成功把东方元素融入现代流行曲调,时尚而前卫,为大批年轻人所喜爱。还有我钟爱的一位日本女歌者Cocco,本人即是冲绳岛出身,音域宽广而自由。

 沖縄の島歌を聴いたことがある人は、必ず夏川りみという名前を知っているだろう。沖縄の民俗風習では、生まれたばかりの赤子は神の子と見なされます。彼女の《童神》という曲は、曲調はしなやかで美しく、人を魅了させ、沢山の人によってカバーされている。他に中孝介という人がいる。彼の島の歌唱法は新鮮だ。見事に東洋の要素を現代的なメロディーに溶け込ませることに成功している、ずいぶん前から多くの若者に愛されている。そして私が日本の女性歌手で一番好きなのはCocco。沖縄出身で、音域が広く自由自在だ。

 我的这一首,里面设定了一位女主人公,她既歌唱自己的家乡冲绳岛,又诉说着一段遗憾的爱恋。就像是沈从文《边城》的女主人公,再也见不到心爱的人的忧伤。青山绿水,葱茏而浓郁的旧时岁月,却再也找不回的伤感。这样的故事,会发生在每一个角落。无论是大陆中原地区里的深山村落,还是大洋彼岸茫茫大海所包围的零星孤岛。

 私のこの曲に一人のヒロインを設定した。彼女は自分の故郷の沖縄島を歌っている。一つの残念な想いの愛情を歌っている。まるで沈从文の小説《边城》のヒロインのように。二度と会うことの無い愛する人への憂いと悲しみ。青々とした山と川、歳月が積もって、二度と帰れない感傷、このような物語は、様々な隅で起こりえる。大陸中原地区の深い山村においても、大洋の対岸の海に包まれた孤島であっても。

 编曲的乐器选择上,除了常见的吉他、大提琴,具有东方美感的元素是:风铃,尺八,三味线,太鼓。
 风铃。它是属于夏日的物件。岛上的海风吹过房檐,还没进到屋内,就被风铃捕捉到了,叮当作响。炎热的夏日也因为这清脆的声音,变得凉爽。这也是为什么,古老的日本和室喜欢装饰风铃的原因。乐曲开头只有两声风铃引入,时节和场景,由你来想象。

 編曲する際、楽器を選ぶにあたって、頻繁に出てくるギターとチェロ以外に,東方の美感がある要素は風鈴,尺八,三味線,太鼓。
 風鈴は夏の風物詩。島の風が軒先に吹いて、部屋に入ってくる前に、風鈴によって捕まえられ、チリンチリンと音を立てます。暑い夏の日もこの軽快な音を入れることで涼しげになる。これが、日本の古い建物に風鈴を飾るのが好まれる理由だ。曲の冒頭から二回の風鈴の音が聞こえてきて、季節や情景が想像出来る。

 尺八。中国乐器,因一般管长一尺八寸而得名。发源于我国东汉时期,隋唐时期成为主要宫廷乐器,宋代由遣唐使传入日本。然而,由于宋朝社会动荡和元朝少数民族统治中原,文化断层,在我国早已失传。在日本,尺八却因为它独特的漏气音和不规律性,恰好符合日本禅宗艺术里面“枯淡简素,一期一会”的审美要求,像花道茶道一样,广为流传,并形成了“琴古流”、“都山流”、“明暗对山流”等多家流派。

 尺八、中国楽器、普通の管の長さは一尺八寸なのでこの名が付いた。我が国の後漢の時代に生まれた。唐の時代に主要な宮廷楽器として、宋の時代に遣唐使を通じて日本に入ってきた。しかし宋朝は社会が揺れ動いて、元朝にかけての時代は少数民族が中原を統治した。文化は途絶え、我が国では既に失われてしまった。日本では、尺八の独特の空気が漏れる音とその不規則性で、日本禅宗の芸術の中に“枯淡简素、一期一会”の要求として好まれた。花道や茶道のように、広く伝わり、“琴古流”、“都山流”、“明暗对山流”など、多くの流派を形成した。

 提到“漏气音”,这是我认为尺八区别于任何一门吹奏乐器,最代表东方式审美的地方。一般的乐器演奏,求得是精准完美。比如笛声,固然悦耳,但它常常太完美。而吹奏尺八的时候,无法避免的漏气声,决定了每次吹奏时候的偶然性,每一次吹奏都是新的,无法重复同样的音律。因此演奏者求的不是精准,而是听从内心,“以心传心,鸣者自鸣”。这便是完全区别于西方严密的审美逻辑要求的,独特的东方式审美。

 空気が漏れる音は尺八を他の吹奏楽器との区別をはっきりさせる。最も東洋の美しさを代表します。一般の楽器演奏は、精密さと完璧が求められる。例えばフルートの音はもちろんとても心地よくてとても完璧です。しかし尺八を吹いた時、空気が漏れる音を避けることができない。そのため、吹くたびに偶然性が生まれる。吹くたびに新しい。同じメロディーを吹いたとしても、演奏者の求めるものは精密さや正確さではなく、心から吹けば、伝わり、鳴る。これは西洋の厳密な要求と違い、東洋独自の美意識だ。

 就像茶道大师千利休所使用的茶器,一定不是白瓷,而是粗釉。唯一的纹样,是釉彩在初初涂抹上后自然流淌出的样子。是啊,真实的生活,怎么会像是那优美的笛声,那精致的白瓷一样完美。尺八感人的地方,就是它恰是真实生活的样貌。不完美和缺憾,成就了它的独特韵味。

 茶道の大師、千利休が使った茶器のように、必ず白い磁器ではなく、荒い釉彩。唯一の模様、これは釉彩を最初にかけた時に最初に自然に流れた様子。そう、現実の生活はこのように笛の音のように美しい。あの白い茶器のように完璧な美しさ。尺八の感動する所は、それが真実の生活を映し出すから。不完全な欠陥、彼の独特な趣をを成す。

 三味线和太鼓。常常有人会疑惑,三味线和我国的三弦太像了吧。太鼓,和我国的大鼓又有什么区别。是的,他们都是早期源自中国的乐器,后来经过岁月洗礼,细部构造和演奏方式因地域审美差异,变化脱胎成岛国邦乐常用乐器。我的直观感受是,三味线在使用上多用岛国声阶,压倒性的Fa音和Si音的使用。而太鼓咚咚的节奏型直接就来自“祭り”时候的样貌。

 三線と太鼓。よく納得出来ない人がいますが、我が国の三弦ととても似ているでしょう。太鼓,我が国の太鼓とどんな違いがある。そう、彼らはどちらも初期中国に起源を発する楽器。歳月が経って、細かい構造や演奏方法に地域の違いが生まれた。島国の邦楽はよくこの楽器を使う。私の直感は、三味線が使われている多くの島国のメロディーは圧倒的にファ音とシ音が使われている。しかも太鼓のドンドンという響きは祭りの様子を想起させる。

 有关“祭り(Matsuri)”,虽然汉字是写一个祭祀的祭字,却是日本的传统祝日,是庆贺的日子。一年前,我在无印良品艺术总监原研哉设计室工作,走一条街就是著名的银座步行街,满街都是世界名牌旗舰店,却依然可以见到周末举办“祭り”的人群。扛着“御神輿(Omikosi)”,就是传说神会降临的轿子,一丝不苟地喊着号子,穿过中央街道。传统民俗,就这么自然的与现代接轨。

「祭り」ついて漢字では「祭」という字を書くんだけど、これはすなわち日本の伝統の祝日。祝賀する日です。一年前、私が無印良品のアートディレクターの原デザイン研究所にいた時、有名な銀座の歩行者天国にあって、町中に世界中のブランドショップが並んでたけど、週末には祭りの人の群れを見ることが出来た。御神輿、これは神様が下りて来る為の駕篭の言い伝え、かけ声をかけながらを中央通りを横切ります、伝統の民俗風習が、かくも自然に現代に溶け込んでいた。

 最后摘录一篇关于冲绳音乐的文章,感兴趣的人,可一读。

 最後に沖縄音楽に関しての一遍の文章を乗せておく、興味ある人は読んでみて。

  程璧
  二零一五年三月三日 上巳日

  チェン・ビー
  2015年3月3日 ひなまつり
https://music.douban.com/subject/26332333/

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8/13ライブに向けて。程璧の「沖縄民謡」翻訳してみました。

Sakurazaka Music from the World vol.6
莫西子詩(モーシー)&程璧(チェン・ビー)
JAPAN TOUR 2016
ゲスト:知花竜海
日程:2016年8月13日(土)
会場:桜坂劇場ホールB(那覇市牧志3-6-10)
時間:開場18:30 開演19:00
料金:一般前売3,000円 当日3,500円
   小中高校生前売1,500円 当日2,000円
※入場時別途300円の1ドリンクオーダーが必要
※未就学児の入場不可
問・電話予約=桜坂劇場 098-860-9555
◎6/11(土)前売開始
<プレイガイド>桜坂劇場窓口/ファミリーマート各店・イープラス/ローソンチケット/チケットぴあスポット
" チャイニーズ・インベンション”来襲!
中国で人気の高い話題のシンガー2人が桜坂劇場に登場します。
莫西子詩(モーシー)は2013年に中国国営放送での演奏が小さな社会現象に。1stアルバム「原野」は、自らのルーツである彝(イ)族の言語と民族楽器を軸に収録されました。SNS経由で中国全土に浸透しています。
程璧(チェン・ビー)は北京と東京を拠点に活動するシンガーソングライター。2ndアルバムでは谷川俊太郎の詩に曲をつけた作品も。
沖縄からのゲストで、知花竜海が出演。


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